総合危機管理
Online ISSN : 2432-8731
AI活用による感染対策と実践
山舘 周恒
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2020 年 4 巻 p. 37-42

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抄録
近年、耐性菌の増加や免疫力の低下を伴う新たな治療法の登場により、医療現場における感染対策の重要性 はますます必要になっている。特に、平成19 年4 月に施行された改正医療法では、診療所等を含む全ての医 療機関において感染防止対策の体制整備が義務化され、専門スタッフの有無に関わらず ICT 活動が必要にな っている。ICT は感染症患者を迅速に検知して感染予防と治療状況を把握することや抗菌薬の使用状況の調 査と指導、それに職員の感染予防の教育など、その業務は多岐にわたる。 このような業務を適切に行うにはコンピュータシステムの支援が欠かせない。感染に関わる事象は時間を問 わず医療のあらゆる部署で発生することから、ICT メンバーに限らず現場の全スタッフに対してリアルタイ ムに有益な情報を提示するツールとしてコンピュータシステムの役割も期待されるが、現実には規模の大きい 医療機関に限った利用にとどまっている。このような状況を踏まえて、今後期待される感染対策における人工 知能(AI)を含むコンピュータシステムについて考えると、感染症患者のベットコントロールを含めた管理、 抗菌薬投与管理、院内感染週報の編集、それにe-ラーニングによる感染講習会などの分野でAI の活用が期待 される。
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© 2020 総合危機管理学会
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