2022 年 2022 巻 1 号 p. 188-193
これまでは必ずしも十分に社会参加できるような環境になかった障がい者等が,積極的に参加・貢献していくことができる「共生社会」の実現が目指されている.路線バスについては,1990年代のノンステップバスの登場や,車椅子乗降用スロープの電動化の検討等がなされてきた.近年では,自動運転による交通事故低減や交通渋滞緩和等が期待されているが,自動運転バスが普及した世の中においても,障がい者や高齢者等の交通制約者が,取り残されることなく,安心して自動運転バスを利用できる姿を目指すことが必要である.そこで,自動運転バスが備えるべきデザインの要件と留意点を整理することを目的に調査を実施した.調査は,当事者,及びバス運転士の困り事に関する行動観察,解決案を形にした“モノ”の体験を経て評価を得る評価会等,当事者参加型の形式をとった.その結果,困り事には,バスへの乗降に関するものや,車椅子の固定に関するもの等があげられ,それに対し,自動スロープや車椅子固定装置等を実用化・社会実装するために必要な要件や留意点を整理した.