2022 年 2022 巻 1 号 p. 210-216
この調査研究は,車両・プローブ情報等に係る各種データをトラック物流の業務効率化や安全性確保に役立てていくことを狙いとして,「①荷待ち時間発生状況把握と関係者間共有」「②車両データを用いての日常点検項目の確認」「③法令遵守・安全確保のための積載重量/タイヤデータの計測」の3つのユースケースについて,データ取得・活用の実証実験を行ったうえで,実装に向けての課題整理と対策検討を行うものである.実証実験による仮説検証と,実験結果を踏まえて行った運送事業者や関係事業者との協議を通して,各ユースケースはトラック運送業務の効率化や安全性確保等における有用性の観点から高く評価された.一方で各ユースケースは,実装に向けては検討の緒に就いたコンセプトレベルの段階にあるため,今後の具体化検討に際しては技術面,事業面,法整備面等様々な観点の課題が存在し,実用化には相当の期間を要すると思料される.今後,実用化に向けての環境整備や機運づくりを図るため,各ユースケースの認知促進と,推進役となる関係団体や事業者が必要である.