2018 年 18 巻 1 号 p. 29-34
線維筋痛症は原因不明の広範囲の慢性疼痛と圧痛を特徴とする疾患である。線維筋痛症の発症機序が明らかでないため、根治療法はない。プレガバリン・デュロキセチン・アミトリプチリン・ミルナシプランなどを使用した薬物療法、有酸素強化運動、抵抗運動、水中運動、認知行動療法などがガイドラインでエビデンスのある治療法として推奨されているが、それらの治療法だけでは線維筋痛症の症状をコントロールできない患者もいる。そのため、エビデンスが十分にない他の治療法を試みている患者も多く、そのような治療法の中に神経ブロック・トリガーポイント注射もある。トリガーポイント注射は、厳密には神経ブロックではないが、神経ブロック治療の一つとして行われていることが多い。現在、線維筋痛症に対してだけの神経ブロックの効果を検討したランダム化比較試験は報告されていない。しかし、線維筋痛症患者に対する神経ブロックによる効果を日本語で報告した症例報告は数多くある。このミニレビューでは、線維筋痛症に対する神経ブロックとトリガーポイント注射の効果に関する報告を集め、英語で報告を行う。