日本女性科学者の会学術誌
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総説
エボラウイルス粒子へのホスファチジルセリン集積の分子機構の解明
南保 明日香
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2020 年 20 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

ウイルス感染は、ウイルス粒子に発現するスパイクタンパク質とこれらを特異的に認識する受容体との相互作用を介して細胞に吸着・侵入するプロセスから開始する。近年、エボラウイルスを含む種々の高病原性ウイルスが、リン脂質の1種であるホスファチジルセリンを認識する受容体を介して標的細胞に取り込まれることが明らかになりつつある。これらのウイルスは、感染細胞から子孫ウイルスを放出する際に、細胞由来の脂質二重層をエンベロープとして獲得する。すなわちこれらのウイルスがホスファチジルセリン受容体に認識されるためにはこのリン脂質がエンベロープの外膜に集積する必要がある。本項では近年明らかにされつつあるウイルスエンベロープ外膜にホスファチジルセリンが集積する分子機構について、エボラウイルスを主な例として、概説する。

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