医薬品開発において、化合物の結晶多形制御や構造解析に向けた高品質大型結晶の育成は重要課題である。著者らは従来の網羅的な条件設定後に結晶核発生を待つ方針に対して、結晶化条件を整えた後、フェムト秒レーザー照射技術、超音波印加法、ポリマー表面の官能基を利用した結晶化法等により核発生を能動的制御する技術を開発した。これらの技術によって、安定形が混在しない100%純度の準安定形が得られるようになり、極めて高い結晶安定性が実現した。フェムト秒レーザー照射によって結晶の成長機構モードを制御し、個々の結晶品質をさらに高める技術の開発にも成功しており、核形成から結晶成長まで一連の過程を制御する結晶化マニュピュレーション技術が構築された。本稿では、これらの技術の中からフェムト秒レーザーを用いた結晶多形制御、および結晶成長機構の制御について紹介する。