日本女性科学者の会学術誌
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随想
キュリー夫人の理科教室・教育遺産 ―その現代的意義―
吉祥 瑞枝
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2022 年 22 巻 p. 59-68

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抄録

女性科学者のロールモデルであるマリー・キュリーは、放射性元素ラジウムとポロニウムを発見した。ノーベル賞受賞の最初の女性であり、二度の受賞、母娘二代の唯一の受賞者である。ところが、マリー・キュリーが偉大な科学教育者であったことは知られていない。筆者は『キュリー夫人の理科教室』(1907-1908)の実験授業ノートを手がかりに、記録と事実に基づいて全貌の解明をしようとしている。サイエンススタジオ・マリー(SSM)の普及啓蒙実践活動は20年になる。新しいロールモデルとなる第二のマリー・キュリーの誕生が今日待たれる。学習指導要領の学校授業と併存して、『キュリー夫人の理科教室』の意図する理科教育への理念を復刻した現代版にカリキュラムを編成して、理科好きの子を伸ばし、関心の少ない子には興味を喚起する理科実験教室の開催である。マリー・キュリーからの未来の科学者、子どもへの贈り物である。

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© 2022 日本女性科学者の会
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