日本女性科学者の会学術誌
Online ISSN : 2186-3776
Print ISSN : 1349-4449
ISSN-L : 1349-4449
総説
Optimization of the CAR Affinity to Fine-Tune the CAR-T Cell Function
ウン シンイン近藤 科江門之園 哲哉
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 24 巻 p. 8-15

詳細
抄録

キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法は、がん治療に画期的な進展をもたらし、従来の治療法に抵抗性を示す難治性がんや再発性がんに対しても有効な治療効果が報告されている。CAR-T細胞はCAR分子を細胞表面に発現させた遺伝子改変T細胞であり、患者から採取したT細胞にCAR遺伝子を導入することで作製される。CAR-T細胞を患者の体内に戻すことで、CAR-T細胞はがん特異的抗原に結合してがん細胞を認識し、CARシグナルを引き起こしてがん細胞を死滅させる。しかし、CAR-T細胞療法の課題として、CAR-T細胞の疲弊、および正常組織細胞の攻撃による毒性やサイトカイン放出症候群などの重篤な副作用が知られている。これらの課題を解決し、CAR-T細胞の機能を向上させるには、CARの抗原結合親和性を最適化し、CARの活性化および疲弊レベルを制御することが有効である。本総説では、CAR-T細胞療法について紹介し、主な課題を要約するとともに、結合親和性の最適化によるCARの機能向上に向けた最新の研究動向を紹介する。

著者関連情報
© 2024 日本女性科学者の会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top