抄録
45歳,女性。数年前から右上口唇部に腫瘤を自覚していた。上口唇右側に15×20mmの周囲硬結を伴う紅色隆起性病変を認めた。腫瘍は弾性硬,表面平滑で,辺縁不整で可動性は不良であった。生検標本の病理組織診断はmicrocystic adnexal carcinomaで筋層までの浸潤を認めていたので,腫瘍から10mm離して全層で上口唇を切除した。欠損は上口唇から頬部にまでおよび,再建方法はBurget法を用いた。現在術後1年で,再発を認めない。再建上口唇は機能的および整容的にも満足いく結果となっている。