抄録
1988年1月から2008年12月までの21年間に当科で経験した頭部血管肉腫20例をまとめ,治療の変遷を検討した。年齢は34歳~90歳(平均70.8歳),男14例,女6例であった。詳細の明らかな17例の平均生存期間は21.4ヵ月であった。経過中に遠隔転移を来したのは14例であり,肺転移が10例で最も多く,頸部リンパ節転移は6例であった。外科的切除は11例に施行し,16例に放射線を照射,16例に免疫療法(IL-2)を施行した。化学療法は9例に施行したが,現在ではタキサン系抗癌剤を術後補助化学療法として使用している。我々の検討では局所再発が生存期間に関連しないことが示唆され,遠隔転移の制御にタキサン系抗癌剤が有効であると考えられた。