抄録
過去15年に治療した18例の脈管肉腫(頭部血管肉腫:ASS:16例,Stewart-Treves症候群:STS:1例,その他:1例)について検討した。原発巣に対する初期治療として,最初の4例には手術を主体とする治療を行ったが,術後の創傷治癒過程が再発や転移にかかわったと思われる症例を経験し,それ以降は放射線中心の治療を行った。多くの症例でIL-2,近年ではタキサン系抗腫瘍剤を併用した。3年以上生存した例は4例(ASS:3例,STS:1例)で,いずれも放射線中心の治療を行った症例であった。長期生存例は放射線感受性がよい印象があったが,症例数が少なく治療時期も異なることから,手術中心の治療を行った症例と一概に比較できず,多施設での検討が望まれる。
今後の課題として,原発巣に対する初期治療の選択(手術か放射線か)に加え,有効な放射線照射法と抗腫瘍剤の投与法の標準化が必要と思われた。また,ASSの転移病変の評価にはPET/CTが有用であった。