Skin Cancer
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一般演題
間質性肺炎の急性増悪を来し死亡した陰部パジェット癌の1例
渡辺 正一加藤 裕史伊藤 えりか吉田 美沙子山口 裕史森田 明理
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2010 年 25 巻 1 号 p. 29-32

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抄録

66歳,男性。初診3ヵ月前に右下肢の腫脹,その後右鼠径部リンパ節腫脹および右大腿部・陰嚢にびらんが出現した。病理でパジェット癌と診断され,当院へ紹介となった。原発巣および両鼠径部・骨盤リンパ節転移巣に放射線療法を行い改善した。初診6ヵ月後に胸腰椎転移による疼痛が出現し,放射線療法で軽減したが,初診1年後に陰嚢の腫瘤が増大し,喘鳴と呼吸苦の出現を認めた。胸部CTでは両肺野にびまん性スリガラス影が出現し間質性肺炎の急性増悪と診断した。ステロイドパルスを行い一時呼吸症状は改善したが,再増悪のため永眠された。今回我々は陰部パジェット癌の進行とともに間質性肺炎の急性増悪を来した症例を経験した。悪性腫瘍は高齢者に多く何らかの基礎疾患を有していることが多い。特に肺病変は悪性腫瘍の経過をみるうえで注意を要する。

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© 2010 日本皮膚悪性腫瘍学会
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