Skin Cancer
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一般演題
肝細胞癌皮膚転移の1例
伊藤 香世子日野 頼真千葉 由幸堀内 義仁
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2010 年 25 巻 1 号 p. 65-68

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抄録

80歳,男性。2007年8月頃から右頬部に易出血性の皮疹が出現し,次第に増大したため近医皮膚科受診。毛細血管拡張性肉芽腫を疑われ冷凍凝固療法を2回受けたが改善しないために2007年10月10日当科に紹介受診となる。初診時,右頬部に大豆大の多房性で暗紅色の結節を認めた。また,右鼻腔内にも同様の外観を呈するドーム状小結節がみられた。右頬部・右鼻腔結節のexcisional biopsyを施行した。既往歴の肝細胞癌手術時の標本と比較し,いずれも肝細胞癌の転移と診断した。内臓悪性腫瘍からの皮膚転移の頻度は低いとされているが,そのなかでも肝細胞癌からの皮膚転移は極めて稀である。転移部位は頭頸部に多く報告されている。皮膚転移を指摘されてから死亡するまでの期間は比較的短いとされているが,肝細胞癌では集学的治療の進歩により予後が改善しており,今後皮膚転移症例数が増加すると考えられる。

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© 2010 日本皮膚悪性腫瘍学会
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