抄録
外陰癌切除後再建の問題点は,分泌物による創部汚染や,リンパ漏が生じやすいこと,術後の排泄,整容に支障を来さない再建を行うことである。Yii & Niranjan,Hashimotoらが報告したGluteal fold flapは鼠径郭清に影響されない安定した血流をもち,広範囲の外陰部欠損再建が可能である。また,術後の整容も再建部,皮弁採取部ともに優れた結果を残し,最も好まれる再建方法の一つと考えられる。
我々は,外陰癌症例に対し,病変の拡大切除に加えて,Subtotal integumentectomyに準じて腫瘍と鼠径リンパ節を一塊にして摘出した。大腿部の皮膚血流を考慮し,Leeらの報告したGluteal fold VY advancement flapを用いて外陰部再建を行った。それにより,鼠径郭清後の大腿創部も良好な治癒が得られたと考えている。また,尿線の乱れをわずかに認めるが,外陰部は良好に再建されている。