Skin Cancer
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一般演題
旭川医大皮膚科における厚さ4mmを超えるthick melanoma 55例の検討
上原 治朗伊藤 康裕藤井 瑞恵澁谷 貴史本間 大高橋 英俊山本 明美飯塚 一
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2010 年 25 巻 2 号 p. 189-194

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抄録
(背景)tumor tchiknessが4mmを超える皮膚原発の悪性黒色腫(thick melanoma)は再発転移のリスクが高く予後不良である。現在,化学療法にIFN-βを加えたDAVFeron療法が術後治療として施行されているが,有効性についてのevidenceは少ない。(対象と方法)1978年から2009年まで旭川医科大学皮膚科において診断,治療を受けたthick melanoma患者55例を対象としてretrospectiveにKaplan-Meier法とCox比例ハザードモデルによる生存率解析を行った。(結果)全55症例の5年overall survival(OS)は47.9%であった。IFN-βを加えたDAVF導入以後では5年OS54.7%,5年disease-free survival(DFS)62.7%で,それ以前と比べ,5年OSで有意に予後の改善が得られた。また多変量解析の結果,IFN-βを加えた治療開始の年代とリンパ節転移の有無が有意差をもって予後因子として抽出された。(考案)当科でのthick melanomaの生命予後は近年改善傾向を示していた。Retrospectiveなケースシリーズ報告であるので,これを以てIFN-βの治療効果を結論することはできないが,今後high risk melanomaにおけるIFN-βの治療効果を再検討し,予後に関する統計情報を整備することが必要と考えた。
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© 2010 日本皮膚悪性腫瘍学会
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