はじめに,皮膚軟部腫瘍の病理診断過程について概説した。そこでは,まず,上皮性と非上皮性腫瘍の鑑別の問題,良性および悪性腫瘍の鑑別の問題を述べた。次に,実際の病理診断の過程を述べた。まず,HE染色像および免疫染色所見から正常組織との類似性を判断して腫瘍細胞の分化を診断し,そして,特徴的な構築様式の有無を判定する。さらに,腫瘍細胞の形態を観察し,間質の特徴を加味して最終的に診断する,というものである。
隆起性皮膚線維肉腫の病理診断のポイントおよび皮膚線維腫や神経線維腫との病理学的鑑別の要点,未分化多形細胞肉腫(悪性線維性組織球腫)と他の多形細胞性悪性軟部腫瘍との鑑別の方法についても述べた。