Skin Cancer
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シンポジウム3 緩和皮膚科学2011
緩和皮膚科学2011:緩和医療の中の皮膚科
熊野 公子
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2011 年 26 巻 3 号 p. 278-281

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抄録

 50年前にイギリスのDr.シシリー・ソンダースがブロンプトン・カクテルを創作し,これを発端に,学問的なターミナルケアが始まりました。単なる経験論でなく,多数例での実践を踏まえて,科学的に検証し始めました。
 現在,ターミナルケアから緩和医療へと呼称が変化しています。緩和医療は,あらゆる時期のあらゆる苦痛からの解放を目指します。その対象となるのは,決して癌だけではなく,すべての疾患で,すべての患者に必要なものです。結局,緩和医療は医療の根本そのものであったのです。これを医療の回帰性と呼びます。この回帰性に医師が気付き始め,医学自体の方向性に変化が生じています。
 一方,皮膚科は専門領域の外の研究会に出席し,告知,身体的以外の痛み,終末期の家族への対応,などを学ぶべきです。
 皮膚科は緩和医療と接するところが少なくないにも拘わらず,皮膚科視野に立った緩和医療の研究は皆無です。今,緩和皮膚科学を考えるべき時です。

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© 2011 日本皮膚悪性腫瘍学会
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