Skin Cancer
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シンポジウム3 緩和皮膚科学2011
転移性皮膚癌とfungating tumor
爲政 大幾
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2011 年 26 巻 3 号 p. 282-288

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抄録

 転移性皮膚癌の大半は進行期や末期の患者に生じるため,積極的な治療が困難な場合が多く,患者も医師も治療に消極的になりがちである。しかし,放置した場合に,予想以上の増大や潰瘍化を来すことがある。このように腫瘤が増大し,潰瘍化やそれに伴う出血,浸出液,悪臭などの自他覚症状が著明になるものをfungating tumorと称する。この場合,患者のQOL低下や介護の困難さを招いてしまうため,安易に治療をあきらめるべきではない。治療の第1選択は外科的切除であるが,症例によっては全身化学療法の適応もある。支持療法としては腫瘤の増大や自他覚症状の抑制を目指して,種々の選択肢がある。たとえ腫瘤が消失しなくても,症状の軽減によって,患者のQOLが改善することも多い。このため,各治療法の特徴を十分に理解し,患者の全身状態や治療希望,腫瘍進行の速度や様式など,個々の症例の状態に応じた適切な治療を選択する必要がある。

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© 2011 日本皮膚悪性腫瘍学会
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