2011 年 26 巻 3 号 p. 342-347
79歳,男性。陰茎亀頭部のびらんと黒色斑を主訴に受診した。生検にて悪性黒色腫と診断。FDG-PET検査では遠隔転移は認めず,センチネルリンパ節(SLN)生検を施行のうえ陰茎を部分切除した。病理組織検査では腫瘍細胞のリンパ管浸潤像とSLNには顕微鏡的転移像を認め,Tumor Thickness 3 mm,陰茎悪性黒色腫pT3bN2aM0,Stage Ⅲbと診断した。両鼠径部・骨盤内リンパ節郭清を追加施行し,左鼠径部リンパ節1個に顕微鏡的転移像を認めた。DTIC単独とFeronによる補充療法を施行したが,術後4ヵ月頃から右鼠径部と陰茎上部に母指頭大の腫瘤が出現し急速に増加,Taxolによる化学療法を追加施行するも術後1年2ヵ月で永眠した。In-transit転移のリスクが高い悪性黒色腫の患者においては患者のQOL維持を考慮した治療計画を立てることが重要と考えられた。