抄録
83歳,男性。数年前より背部に黒色腫瘤があり徐々に拡大した。腫瘍の中央にはびらんを伴い辺縁には一部しみだし様の褐色斑がみられた。またダーモスコピー所見では腫瘍に不規則な黒色色素沈着やblue-whitish veil,不規則な血管を認めたため,悪性黒色腫を疑って全摘した。病理組織像はBasaloid cellの胞巣状の増生がみられ,また腫瘍胞巣の辺縁にはpalisadingを認め基底細胞癌の像であった。腫瘍の辺縁ではBasaloid cellの腫瘍性増殖に伴ってメラノサイトも増加しており,メラニン産生像もみられた。術前の血清5-S-CD値は44.3 nmol/lと高値であったが,切除後2週間後に半減し2ヵ月後には16.7 nmol/lと減少した。5-S-CD高値をきたすその他の原因となる要素も認められなかったため,5-S-CD値の上昇は背部基底細胞癌でのメラニン産生によるものと考えた。