2013 年 27 巻 3 号 p. 345-349
73歳,女性。40年前の右乳腺炎罹患後より右乳房に小豆大の皮下腫瘤が存在していた。初診の5ヵ月前,前医にて同腫瘤の摘出術が施行され乳腺炎後のfibrosisと診断されるも徐々に創部付近の隆起を自覚するようになった。当科初診時,右乳頭上方に23×14mm大および径8mm大,表面平滑,弾性硬のドーム状腫瘤が近接して2ヵ所存在した。病理組織学的には表皮直下から皮下にかけて異型性の強い大型のリンパ球様細胞が浸潤し,その細胞はCD20,CD79a,bcl-2,bcl-6,MUM-1で陽性であった。PET-CTでは右腋窩リンパ節,右肺門リンパ節に集積像がみられたことから,本症例をdiffuse large B-cell lymphoma(stage IIA)と確定診断した。R-CHOP療法(Rituximab,Cytoxan,doxorubicin,vincristine,predonisone)を6コース施行したところ乳房の腫瘍は徐々に平坦化した。その後のPET-CTではリンパ節,皮膚病変ともに集積像は認めず治療終了8ヵ月後の現在再発は認めていない。