Skin Cancer
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一般演題
ダーモスコピーで良性病変を示唆し,病理組織でメラノーマとの鑑別に苦慮した足底の非定型的色素性母斑(pseudomelanoma)の1例
中村 考伸出光 俊郎塚原 理恵子小山 尚俊中村 哲史飯田 絵理正木 真澄梅本 尚可加倉井 真樹山田 朋子堂本 隆志中川 秀己伊東 慶悟
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2013 年 27 巻 3 号 p. 350-354

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抄録

 33歳,女性。10年前から左足底に褐色斑があり,受診した。初診時,左足底に径7×5 mm大の黒褐色斑があり,辺縁不整で色調に濃淡がみられた。ダーモスコピーではparallel furrow patternとirregular fibrillar patternを示した。臨床的にはmelanoma in situを疑う所見であったが,ダーモスコピーでは良性病変を示唆する結果であり,切除生検を施行した。病理組織では表皮内にメラノサイトが孤立性,あるいは胞巣を形成し,一部は付属器浸潤もみられるなどmelanoma in situの可能性が否定できず,切除瘢痕辺縁から5 mm離して,再切除を施行した。
 病理組織像を再検討したところ,Saidaの提唱したpseudomelanomaに一致する良性の色素性母斑の可能性が高いと診断した。類似の診断名としてはmelanocytic acral nevus with intraepidermal ascent of cells(MANIAC)などが報告されている。足の色素性病変におけるダーモスコピー上の良性所見と組織学的にメラノーマに類似する所見の解離についてはさらに周知しておく必要がある。

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© 2013 日本皮膚悪性腫瘍学会
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