2014 年 29 巻 1 号 p. 24-28
56歳,男性。約20年前より両側臀部膿皮症を認め,寛解と増悪を繰り返していた。右臀部中央にカリフラワー様腫瘤を認めたため,生検を行った結果,有棘細胞癌であった。全身検索で遠隔転移は認めなかった。手術で右鼠径部のセンチネルリンパ節生検,膿皮症および有棘細胞癌の切除を行い,皮膚欠損部には人工真皮を貼付した。病理組織の結果,リンパ節転移はなく,病期分類はpT3N0M0 Stage IIIと診断した。永久組織標本で腫瘍残存のないことを確認し,皮膚欠損部に対し縫縮およびメッシュ植皮術を行った。手術で腫瘍が完全切除できたため,予防的リンパ節郭清,化学療法,放射線療法は行わなかった。術後1年で局所再発,転移は認めていない。臀部膿皮症から発生した有棘細胞癌は予後が悪いとされている。臀部膿皮症が長期間経過すると有棘細胞癌が発生することを念頭に置き,早期に根治的手術療法を行うべきである。