2015 年 30 巻 3 号 p. 189-192
82歳,女性。既往歴に右乳癌(平成13年),に胃腺癌(平成23年)がある。約2年前より自覚した,左腋窩の徐々に増大する腫瘤を主訴に受診。初診時,15 mm大の表面紅色な,圧痛を伴わない,下床との連続性のない皮下腫瘍を認めた。全切除したところ,真皮から皮下組織にかけて好酸性の細胞質と核小体が明瞭な核を有し,腺管を構成し増殖する腫瘍細胞を認め,断頭分泌を伴っていた。腫瘍細胞はPAS陽性,GCDFP-15陽性,マンマグロビン陰性,エストロゲン・プロゲステロン受容体陰性,HER2は1+でKi67は40%であった。全身検索したが,左乳房や左腋窩を含めて明らかな腫瘍病変はなかった。以上から,左腋窩原発のアポクリン腺癌と診断した。現在のところ再発や転移は認めていない。