2016 年 31 巻 2 号 p. 144-149
61歳,男性。2014年1月より陰部に皮膚腫瘤を自覚。徐々に増大し腫瘤の表面から出血を伴うようになったため,近医受診し同年8月当科紹介受診。初診時,陰部に25×20 mm大の一部血痂を伴う紅色隆起性腫瘤を認め,両鼠径に母指頭大〜小児手拳大までの複数のリンパ節腫大を伴っていた。陰部腫瘊の全摘切除病理所見では,真皮浅層から脂肪織深層まで好酸性顆粒状の胞体を有する大型な異型細胞が管状構造を呈しつつ深部に浸潤しており,腫瘊病変中に断頭分泌像が認められた。免疫組織化学染色では,GCDFP-15,CEA,ER,PgRが陽性であった。画像検索において内臓悪性腫瘊の皮膚転移が否定的であり,皮膚原発アポクリン腺癌と確定診断した。原発巣の拡大切除と両側鼠径リンパ節郭清術を施行し,現在術後17ヵ月経過したが,再発転移を認めず経過良好である。