2019 年 34 巻 2 号 p. 165-169
75歳,男性。陰茎癌術後,陰囊にリンパ浮腫を認めていた。陰囊の腫脹,外尿道口周囲の硬結を主訴に当科紹介受診。初診時,陰囊表面には出血および紫斑を混じていた。硬結部の病理組織は,angiosarcomaの所見であった。治療は放射線療法を選択し,計45 Gy照射後,陰囊の潰瘍,紫斑は完全に消退した。Angiosarcomaは体中どこにでも生じうるが,外陰部に発生したangiosarcomaは報告例が少なく極めて稀である。陰囊に発生した誘因として,術後リンパ浮腫を生じていたことからStewart-Treves症候群として発症した可能性と,転倒後に陰囊の腫脹,硬結を生じていたことから外傷を契機に発症した可能性が考えられた。