Skin Cancer
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悪性黒色腫との鑑別に苦慮したatypical Spitz tumor(AST)の1例
清水 健司徳力 俊治足立 靖後藤 啓介高井 利浩
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2020 年 35 巻 2 号 p. 65-70

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抄録

9歳,男児。当科初診より1年前に右下腿皮膚に黒色斑が出現した。徐々に増大したため半年後皮膚科を受診。右下腿前面に10×7 mmの黒色結節を指摘された。パンチ生検でSpitz母斑疑いと診断されたが,その後半年間で約4 mmの腫瘍増大を認めたため,当科に紹介受診となった。当科初診時,右下腿前面に14×11 mmの境界明瞭,隆起性で,一部に紅色を呈する黒褐色斑を認めた。5 mmのマージンを設けて全切除生検を行ったところ,当院での初期病理診断は悪性黒色腫であったが,複数の施設にコンサルトを行い,atypical Spitz tumor(AST)として治療を行った。センチネルリンパ節生検は陰性であり,初診時から2年9ヵ月後の現在再発は認めず経過観察を行っている。ASTの診断には組織学的所見に加えて免疫染色や遺伝子変異の所見も有効である。治療方針については現在も議論の余地があり,センチネルリンパ節生検の必要性を含め今後の検討が望まれる。

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© 2020 日本皮膚悪性腫瘍学会
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