2020 年 35 巻 2 号 p. 71-75
74歳,男性。初診の4年前に右陰囊の紅斑に気付き,その後拡大したため受診。両側陰囊と恥丘に紅斑があり,生検で乳房外Paget病(EMPD)と診断し切除術を施行。手術の4年半後に右鼠径リンパ節が腫大したためリンパ節郭清術を行った。さらに右外腸骨~総腸骨域にもリンパ節腫脹がみられ,放射線治療を施行しPRであった。追加の治療を希望しなかったため,その後は近医で経過観察となった。初診から8年半後に左鎖骨上,後横隔膜脚,腹部傍大動脈リンパ節腫大のため受診。その1ヵ月後,右下肢の脱力としびれに気付いた。EMPDの単発性脳転移が考えられ,切除術と術後照射を行った。その後脳転移巣が増加し全脳照射を施行。しかし意識レベルが低下し,追加治療は希望されず緩和治療目的で転院となった。EMPDの脳転移の報告は少なく,特に自験例はリンパ節転移以外には主要臓器に転移がなく脳転移を生じた稀な症例と考えられた。