Skin Cancer
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一般演題
上肢low-grade粘液線維肉腫の1例
黒川 正人安田 聖人長峯 理子
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2020 年 35 巻 3 号 p. 125-130

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抄録

症例は68歳,男性で1年前より左前腕から肘窩に腫瘍が出現し,徐々に増大してきた。初診時は皮膚との癒着はなく,隆起した弾性軟で比較的境界明瞭な12 cm×5cmの皮下腫瘤を認めた。手術時の所見では,皮下組織内に存在し,薄い被膜に覆われて,分葉状の柔らかい腫瘍であったが,中枢側では索状物が腋窩方向に伸展していた。術後の病理組織学的検査では,low-gradeの粘液線維肉腫の診断で,中枢側の索状物は結合組織で,その中にも腫瘍細胞が認められた。そのため再手術を行った。前回の手術瘢痕から各1 cm離して皮膚は切除し,腫瘍の存在した部分より1 cm離して,皮下組織,皮神経,皮静脈を深筋膜とともに腋窩近傍まで追い一塊として摘出した。術中迅速病理組織学的検査を行い,残存していた索状物の中枢側断端の陰性を確認した。術後放射線治療を行って4年間経過しているが,再発や転移は認めていない。

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© 2020 日本皮膚悪性腫瘍学会
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