2020 年 35 巻 3 号 p. 137-142
75歳,男性。初診6ヵ月前より左鼠径部に徐々に増大する皮下腫瘤を自覚した。病理組織学的に,N/C比の高い均一な小円形細胞の胞巣状増殖が認められた。腫瘍細胞は横紋筋マーカーであるmyogeninやdesmin等が陽性であり,横紋筋肉腫が鑑別にあがった。しかし腫瘍細胞は神経内分泌マーカーであるchromogranin A,synaptophysinが陽性であり,さらにCK20がドット状陽性,メルケルポリオーマウイルス(MCPyV)が陽性であった。以上より横紋筋芽腫様変化を示したメルケル細胞癌と診断した。横紋筋腫瘍は神経内分泌マーカーが陽性のことがあり,その場合メルケル細胞癌との鑑別が必要となる。両者を組織学的に鑑別する際にMCPyV,CK20染色が有用であることを再認識した。