Skin Cancer
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投稿論文
ボリコナゾール内服中に生じた有棘細胞癌の3例
二瓶 達也芦田 敦子翠川 央高永井 史緒海野 俊徳久保 仁美住 昌彦木庭 幸子奥山 隆平
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2020 年 35 巻 3 号 p. 143-149

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抄録

症例1:68歳,男性。急性骨髄性白血病に対して臍帯血移植を受けた。肺アスペルギルス症に対して8年前よりボリコナゾールを内服していた。6年後,顔面に角化性紅斑が出現し,日光角化症と診断された。その後紅斑の数が増え,一部は有棘細胞癌に進行した。症例2:68歳,女性。急性骨髄性白血病に対して骨髄移植を受けた。肺アスペルギルス症に対して5年前よりボリコナゾールを内服していた。2年後に両手背と前腕に角化性紅斑が出現し,日光角化症と診断された。翌年有棘細胞癌に進行した。症例3:83歳,女性。肺アスペルギルス症に対して10年前よりボリコナゾールを内服していたところ,下口唇にびらんが出現した。急激に隆起し,生検で有棘細胞癌と診断された。3例とも外科的に切除したが,3例中2例は局所再発した。この3例ではボリコナゾール内服中に日光角化症が発症し,有棘細胞癌に進展した。ボリコナゾール内服中はその光発癌について患者教育を行うとともに,日光角化症や有棘細胞癌の早期発見に留意することが大切である。

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© 2020 日本皮膚悪性腫瘍学会
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