Skin Cancer
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一般演題
前腕から手にかけて多数の結節を生じた類上皮肉腫の1例
西原 克彦八束 和樹土居 千晃吉田 諭戸澤 麻美武藤 潤村上 正基藤澤 康弘
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2022 年 37 巻 3 号 p. 187-191

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抄録

37歳,男性。初診7ヵ月前より右前腕に疼痛や瘙痒感を伴わない小結節が出現,徐々に増数した。結節の1つを切除生検したところ,類上皮肉腫であった。原発部位については生検部位および多発結節の拡大切除と全層植皮術を行い,腫大リンパ節はなかったが本人の希望もあり予防的腋窩リンパ節郭清を行った。摘出したリンパ節の1つに微小転移を認めたため術後補助療法としてドキソルビシンとイホスファミドの併用療法を3クール施行した。術後1.5年現在で明らかな再発や転移はない。類上皮肉腫は軟部悪性腫瘍中の約1%と稀な腫瘍であり,本症例のように初診時にすでに腫瘍が多発する例も報告されている。また,肉腫では比較的稀であるリンパ行性転移を来しやすいという特徴があるが,センチネルリンパ節生検は本邦では保険適応外のため今回は行っていない。症例が少なく標準的治療が存在しない腫瘍であるため,さらなる症例集積と治療指針の確立が重要と考えた。

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© 2022 日本皮膚悪性腫瘍学会
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