Skin Cancer
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37 巻, 3 号
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第38回日本皮膚悪性腫瘍学会
教育講演
一般演題
  • 石川 秀幸, 水野 雄斗, 大屋 貴志, 山口 由衣
    2022 年 37 巻 3 号 p. 162-166
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/28
    ジャーナル 認証あり

    根治切除不能の悪性黒色腫にて,免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が無効になった際の治療選択が問題となる。近年,二次治療をはさむことにより,ICIの効果を再度期待できる症例が報告されている。今回,二次治療としてダカルバジンを投与した症例を2例経験した。症例1は83歳,女性。原発巣切除後にニボルマブ術後補助療法を施行。転移が出現したため,ダカルバジンに変更したところ,転移の縮小がみられた。ニボルマブ投与再開後も,腫瘍縮小を認め,最終的に消失した。症例2は78歳,男性。口腔内悪性黒色腫に対してニボルマブ・イピリムマブ併用療法施行したが,転移出現。その後のダカルバジン投与にて一時的に縮小を認めた。しかし再増大に転じ,ニボルマブに変更後も腫瘍は増悪し死亡した。症例1においては,二次治療にてニボルマブの効果は再出現した。また両症例ともダカルバジンそのものの効果も高まっていると考えられた。

  • 瀧脇 道弘, 山本 有紀, 宮﨑 健, 岩橋 吉史, 村田 晋一, 神人 正寿
    2022 年 37 巻 3 号 p. 167-172
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/28
    ジャーナル 認証あり

    75歳,男性。初診3年前より左足底部腫瘤を自分で処置していたが縮小せず,左鼠径部リンパ節を触知し受診した。腫瘤は10 cm大の隆起した境界明瞭な腫瘤で,中心に潰瘍・壊死を伴っていた。なお黒色斑はみられなかった。生検組織では表皮との連続性はなく真皮に比較的淡明な細胞質の紡錘形細胞が束状増殖しS100,MelanA陽性,BRAFV600E,K変異陰性だった。PET-CTで左鼠経リンパ節や総腸骨動脈リンパ節に集積を認め悪性黒色腫pT3bN3cM0 Stage IIICと診断し,ニボルマブ・局所IFNβ注射・モーズペースト塗布で加療したところ治療側に白斑が出現した。左鼠径リンパ節も著明に縮小し,郭清術を施行した。初診2年後には完全奏効したが,5年後左足底部と左大腿内側に皮下腫瘤が出現した。再燃時の臨床所見より明細胞肉腫との鑑別が必要と考え,追加検索した。PRAME染色は約80%で陽性,融合遺伝子は認めなかった。明細胞肉腫との鑑別を要すると考えた症例であり報告する。

  • 寺尾 茜, 田口 良吉, 寺木 祐一, 福田 知雄
    2022 年 37 巻 3 号 p. 173-180
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/28
    ジャーナル 認証あり

    皮膚筋炎は近年様々な特異的自己抗体が明らかになった。検出される自己抗体と臨床的特徴は相関するとされ,合併症等の予測に有用である。抗TIF1-γ抗体は悪性腫瘍との関係が深く,その経時的モニタリングが悪性腫瘍の病勢を反映するとの報告が最近散見されるようになってきた。そこで我々はその関係性を検証すべく,2017年5月から2021年11月に当科を受診した皮膚筋炎84例のうち,抗TIF1-γ抗体陽性であった26例についての検討を行った。26例中悪性腫瘍の合併は16例で,合併例では嚥下障害や筋力低下を伴う中等症〜重症症例が多い傾向がみられた。悪性腫瘍が完全寛解した3症例では,治療経過に一致した抗体価の変動がみられた。一方,悪性腫瘍を合併しない症例では,皮膚筋炎症状の改善に伴い抗体価は低下した。抗TIF1-γ抗体は,皮膚筋炎の病勢だけでなく,悪性腫瘍の病勢とも関連して変動する抗体であることが示唆された。

  • 吉岡 和佳子, 大西 正純, 土橋 りさ, 後藤 真紀, 佐藤 友利, 荒川 伸之, 中川 倫代, 天野 博雄, 兼平 貢, 赤坂 季代美
    2022 年 37 巻 3 号 p. 181-186
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/28
    ジャーナル 認証あり

    60歳,男性。初診2年前の外傷を契機に陰茎に皮疹が出現した。初診1ヵ月前より陰茎の腫脹と疼痛があり当科を紹介され受診した。初診時,陰茎背面から陰囊にかけ66×53 mm大の紅色腫瘤がみられた。画像検索では左精索への浸潤と両側の鼠径リンパ節の腫大がみられた。皮膚生検で基底細胞癌と診断し,腫瘍の拡大切除後,左側の高位精巣摘出術を行い同時に両側鼠径の腫大リンパ節を生検した。病理組織学的に両側の精索と鼠径リンパ節に転移がみられた。基底細胞癌の転移リスクは,外陰部発生,直径3 cm以上,腫瘍細胞の皮膚外構造への浸潤,病理組織型がaggressive typeであると考えられており,自験例ではそれらをすべて満たしていた。基底細胞癌は転移は稀であるが,自験例のようにリスクが高い症例では転移の検索も必要であると考えた。

  • 西原 克彦, 八束 和樹, 土居 千晃, 吉田 諭, 戸澤 麻美, 武藤 潤, 村上 正基, 藤澤 康弘
    2022 年 37 巻 3 号 p. 187-191
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/28
    ジャーナル 認証あり

    37歳,男性。初診7ヵ月前より右前腕に疼痛や瘙痒感を伴わない小結節が出現,徐々に増数した。結節の1つを切除生検したところ,類上皮肉腫であった。原発部位については生検部位および多発結節の拡大切除と全層植皮術を行い,腫大リンパ節はなかったが本人の希望もあり予防的腋窩リンパ節郭清を行った。摘出したリンパ節の1つに微小転移を認めたため術後補助療法としてドキソルビシンとイホスファミドの併用療法を3クール施行した。術後1.5年現在で明らかな再発や転移はない。類上皮肉腫は軟部悪性腫瘍中の約1%と稀な腫瘍であり,本症例のように初診時にすでに腫瘍が多発する例も報告されている。また,肉腫では比較的稀であるリンパ行性転移を来しやすいという特徴があるが,センチネルリンパ節生検は本邦では保険適応外のため今回は行っていない。症例が少なく標準的治療が存在しない腫瘍であるため,さらなる症例集積と治療指針の確立が重要と考えた。

  • 竹林 宏朗, 高橋 玲子, 福山 國太郎
    2022 年 37 巻 3 号 p. 192-196
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/28
    ジャーナル 認証あり

    37歳,男性。2016年11月右前額部に紅色結節を生じた。病理では,真皮全層に小型リンパ球の密な浸潤がみられT細胞,B細胞は混在していた。偽リンパ腫と診断,ステロイド局注にて消退した。2021年8月より前額部の紅色結節再発。皮膚生検にて表皮から皮下脂肪織にかけて大型の異型細胞を混じる密な細胞浸潤がみられた。免疫グロブリンH鎖遺伝子再構成あり。免疫染色にて,CD20(+)CD79a(+)bcl-6(+)bcl-2(-)MUM-1(-)で原発性皮膚濾胞中心リンパ腫(PCFCL)と診断。PETCT検査にて明らかな転移等認めず,ステロイド局注・放射線治療行い紅色結節は消退した。PCFCLは予後良好な皮膚原発のB細胞性リンパ腫であり,しばしば偽リンパ腫との鑑別が困難で,診断に難渋することがある。初回の組織学的所見が異型性に乏しく治療反応性が良好であっても慎重に経過を観察することが望ましい。

  • 佐藤 あゆみ, 田口 良吉, 齋藤 聡一郎, 福田 知雄
    2022 年 37 巻 3 号 p. 197-202
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/28
    ジャーナル 認証あり

    81歳,男性。初診2ヵ月前より右頬部に4 cm大の境界やや不明瞭な淡紅褐色の浮腫状浸潤性紅斑が出現した。前医受診し,肉芽腫性疾患や深在性真菌症が疑われ,真菌培養と皮膚生検が施行された。真菌培養は陰性であった。

    病理組織学的には血管内皮細胞がスリット状の脈管構造を形成し増殖していた。脈管内外に認められる赤血球は少数で,免疫染色でpodoplanin陽性を呈したため,リンパ管系分化を有する脈管肉腫と診断した。化学放射線療法で皮疹は平坦化し消褪傾向となった。

    脈管肉腫はそれぞれの臨床所見や組織学的所見からhemangiosarcoma(狭義の血管肉腫)およびlymphangiosarcoma(リンパ管肉腫)に分類されることがある。特に慢性リンパ浮腫を伴わないlymphangiosarcomaは,hemangiosarcomaと比較して易出血性は乏しく,結節性病変を認めないことから非典型的な臨床像を取りやすい。そのため診断が難しく,悪性度が高くないように見受けられることが多いが,hemangiosarcomaと同様に予後の悪い疾患であり,慎重な対応が求められる。

  • 瀬下 治孝, 入澤 亮吉, 前 賢一郎, 脇本 紘子, 宮崎 安洋, 三上 隆二, 原田 和俊
    2022 年 37 巻 3 号 p. 203-208
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/28
    ジャーナル 認証あり

    症例は83歳,男性。初診2ヵ月前より左下眼瞼に紅色腫瘤が出現し,急激に増大した。開眼困難になり,当院紹介受診となった。初診時臨床所見では,左下眼瞼から一部上眼瞼にまたがって隆起する8×5 cm大の紅色の巨大な腫瘤であり,皮膚生検にてメルケル細胞癌の診断となった。リンパ節転移や全身他臓器転移は認めなかった。高齢者であり,腫瘍出現部位,腫瘍径の観点より手術困難であったため,放射線治療を選択した。放射線を計66 Gy/33 Fr照射後,腫瘍は著明に縮小し,CRを得られた。その後1年経過するも,再発を認めない。巨大なメルケル細胞癌に対しても放射線が有効であった症例を経験したため,文献的考察を含めて報告した。

第37回日本皮膚悪性腫瘍学会
一般演題
  • 袋 幸平, 茂木 いづみ, 安田 綾子, 岡村 友紀, 向所 純子, 安齋 眞一, 池田 信昭
    2022 年 37 巻 3 号 p. 209-212
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/28
    ジャーナル 認証あり

    69歳,男性。初診3週間前,急速に増大する左前腕伸側の皮膚結節を主訴に前医受診。頂部にびらんを伴う12 mmの紅色結節を認め,抗菌薬の内服と外用を行ったが改善せず当科受診。頂部に痂皮を伴う紅色腫瘤は径30 mmに達しており,ケラトアカントーマあるいは有棘細胞癌を疑い皮膚生検を施行,病理組織学的所見からケラトアカントーマ型有棘細胞癌と診断。初診3週間後には62 mmまで増大し,MRI検査の所見で,腫瘍浸潤は筋層周囲に至っていた。遠隔転移はなく,一部筋層を含めて全切除し人工真皮で被覆。深部断端が陽性であったため術後放射線療法を施行した。ケラトアカントーマ型有棘細胞癌はケラトアカントーマ様有棘細胞癌とkeratoacanthoma with malignant transformationを合わせた概念で,有棘細胞癌成分の分布様式により区別しているがしばしば鑑別は困難である。多くは原因が不明で急速に増大する可能性があるため,臨床的に疑われた場合は完全切除の形での生検が推奨される。

  • 茜部 穂波, 森 章一郎, 奥村 真央, 浦田 透, 村上 佳恵, 横田 憲二, 秋山 真志, 棚橋 邦明, 蛯沢 克己, 森 誉子
    2022 年 37 巻 3 号 p. 213-217
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/28
    ジャーナル 認証あり

    20歳,男性。2020年1月頃より頭皮に結節を自覚した。徐々に増大し同年3月に前医を受診した。生検で悪性間葉系腫瘍を疑われ当科紹介となった。初診時,頭頂部に可動性不良な5×3cm大の隆起性紅色結節を認めた。再生検した所紡錘形細胞の増殖を認め,CD34陽性であり,他院で行った遺伝子検査でCOL1A1-PDGFB融合遺伝子を認めたため,線維肉腫様変化を伴う隆起性皮膚線維肉腫と診断した。CTで遠隔転移を認めず,結節近傍の皮下にも結節を認めた。MRIで頭蓋骨骨膜へ癒着があり骨膜浸潤が疑われた。病変周囲を20mmマージンでマッピング生検し1ヵ所陽性。陽性部からさらに10mm離して生検したが再度陽性。さらに10mm離して生検し陰性を得た。生検結果を参考に頭蓋骨を含め広範囲切除,人工骨挿入し遊離広背筋皮弁および分層植皮で再建した。術後病理検査で切除断端は陰性,術後20ヵ月再発はない。頭部隆起性皮膚線維肉腫の切除範囲の決定にマッピング生検が有用な可能性がある。

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