2024 年 39 巻 1 号 p. 41-48
77歳,男性。1年前に左頬部皮膚腫瘤を自覚し,徐々に増大したため当科受診となった。初診時16×11 mm大の黒色隆起性皮膚腫瘤を認めた。悪性腫瘍の可能性を考慮し,後日全切除生検を行った。病理検査で,HE染色で核異型を伴う腺腔構造,アポクリン腺分化を示す断頭分泌を認め,皮膚アポクリン腺癌または転移性腺癌と診断した。術後に行ったPET-CT検査で,他臓器に異常集積を認めなかったため皮膚アポクリン腺癌と診断した。後日10 mmマージンの追加切除,鼻唇溝皮弁による再建術を施行した。術後約2年半経過した現在まで局所再発や転移は認めていない。我々が渉猟し得た範囲において,本邦でのアポクリン腺癌は過去に81例報告されているが,全体が黒色を呈する皮膚アポクリン腺癌は自験例が初であったため若干の考察を加えて報告する。