Skin Cancer
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多彩な組織像を呈した多発性皮膚腫瘍
足立 功一国分 一郎小林 仁月永 一郎熊切 正信青柳 俊三浦 祐晶中村 準之助
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1986 年 1 巻 p. 127-131

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抄録

59歳, 男性。既往歴として患者は35年前に梅毒のためアルスフェナミン (サルバルサン®) の投与を受けている。臨床的にはsquamous cell carcinoma, Bowen's diseaseを考えさせる皮疹が全身に多発, 組織学的にはmalignant trichilemmoma, eccrine poromaなど付属器腫瘍に類似した組織像であった。治療は腫瘍摘除, 右鼠径部リンパ節郭清を行ったが切除標本の組織学的検索で右浅鼠径リンパ節に転移が認められた。血中, 尿中, 頭髪, 皮膚切片での砒素の定量では異常所見はみられなかった。臨床像, 組織学的特徴からはarsenical keratosis and carcinomaと考えた。アルスフェナミンの既往のある患者に発生したという点で特徴があると思われ報告した。

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© 日本皮膚悪性腫瘍学会
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