抄録
肛門周囲および外陰周囲の有棘細胞癌に対して, 腹腔会陰式直腸離断術いわゆるMiles法を施行した2症例を経験したので報告する。症例1は43歳男性で肛門周囲の慢性湿疹に対し, 1,600レントゲンの超軟X線照射を施行され, 3年後に同部位が潰瘍化してきた。生検にて有棘細胞癌と診断され, 内腸骨動脈リンパ節郭清を含む腹腔会陰式直腸離断術を施行した。皮膚欠損は両側のbipedicle skin flapにて閉鎖した。症例2は64歳女性で10年前より外陰部に疣贅状皮疹が存在し, 2年前に潰瘍化してきた。有棘細胞癌の診断のもとにMiles法を施行し, 皮膚欠損部は両側Gracilis muscleによるM-C flapにて閉鎖するとともに膣壁の再建も行った。