Skin Cancer
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有棘細胞癌における局所浸潤リンパ球サブセットの検討
佐井 嘉之大橋 勝名倉 宏
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1986 年 1 巻 p. 157-162

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抄録
有棘細胞癌における浸潤リンパ球について, モノクローナル抗体 (Leuシリーズ) を用いた酵素抗体間接法により, Tリンパ球のサブセットの検索を行った。腫瘍局所に浸潤する細胞はTリンパ球が主体であり, 浸潤単核細胞の半数以上を占めていた。浸潤するリンパ球のサブセットは, 腫瘍内では腫瘍内に細胞浸潤が認められた7例全例に,腫瘍周囲では9例中7例においてLeu 2a (Tc/s) 陽性細胞が優位であった。また, Leu3a/Leu2a比で検討すると, 腫瘍内では全例1未満を示し, 腫瘍周囲に比し低い値, すなわちLeu 2a (Tc/s) 陽性細胞の割合が腫瘍周囲のそれより多い傾向があった。Leu7陽性細胞の比率は, 正常人血中レベル範囲内であり, 一定の傾向は認められなかった。以上より, Leu 2a陽性細胞すなわち, cytotoxic/suppressor T-cellが腫瘍細胞の排除機構と関わりのあることが示唆された。
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© 日本皮膚悪性腫瘍学会
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