抄録
59歳女性。初診より1年前から後頸部の結節に気付くも放置。当科紹介初診時, 後頸部ウンナ母斑上に径5mmの紅色, 境界明瞭なドーム状に隆起する弾性硬の腫瘍を1個認めた。また, 後頸部隆起性腫瘍直下には15×20mm大の比較的境界明瞭な硬い腫瘍を触れた。下床との可動性良好, 頸部リンパ節の腫脹は認めなかった。皮下腫瘍部の生検にて, 異型性を有する泡沫状細胞と好塩基性の未分化細胞からなる腫瘍細胞塊を認め脂腺癌と診断。拡大切除術施行した。脂腺癌は黄色調の硬く隆起する結節を呈することが多く, 眼瞼外脂腺癌においても, 腫瘍実質が皮下に存在する例は極めて稀と考えられる。悪性度の高い腫瘍であり, 早期発見にて十分な治療を施す必要があると考えた。