2005 年 20 巻 2 号 p. 171-175
症例は33歳 (現在48歳) , 女性。30歳時に乳房下部に米粒大紅斑を生じ, その後3年間に胸部・背部・腹部および顔面に広がり, 療痒を伴う貨幣大の扁平紅色浸潤性局面を形成した。血液検査ではIgG (4676mg/dl) , IgA640mg/dlが著増し, IL-6も17.7pg/mlと上昇していた。初回生検にてCastleman病の形質細胞型と考えられ, 軽鎖のrestrictionは見出されなかった。プレドニン単独療法にて経過観察した。皮疹は消退傾向となっていたが, 42歳時に皮疹が高度に再燃, 全身の表在リンパ節腫脹も認めmulticentric Castleman's disease (MCD) と診断された。その後皮疹の自然消退傾向が現れたため同様の治療を継続し, 17年10ヵ月経過した現在, 皮疹はほぼ消失し, 表在リンパ節腫脹および肝脾腫は認められない。IgG (7114mg/dl)とIgA(735mg/dl)の高値は持続している。MCDの予後は (1) aggressive and rapidly fatal course, (2) chronic course with sustained clinical manifestations, (3) one with recurrent exacerbations and remissionに分かれるが, 本例は (2) に相当するものである。