Skin Cancer
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20 巻, 2 号
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  • 高井 利浩, 松永 亜紀子, 鄭 柄貴, 尾藤 利憲, 上田 正登, 市橋 正光
    2005 年 20 巻 2 号 p. 116-120
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    58歳, 男性。幼少時より右側頭部に常色の局面があり, 同部に大小の腫瘤が出現してきた。病理組織学的に, 有棘細胞癌と基底細胞癌と診断, 常色の局面は脂腺母斑であった。手術的に摘出し, いずれも再発転移なく経過している。脂腺母斑から二次発生する腫瘍の病理組織診断につき, 文献的に考察した。
  • 今井 亜希子, 大谷 恵理, 渡邊 京子
    2005 年 20 巻 2 号 p. 121-126
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    リンパ節転移を認めた基底細胞癌の2例を報告する。
    症例1:70歳, 男性。左鼠径部の60×20mmの潰瘍性病変を主訴に当科受診した。組織学的に基底細胞癌と診断し, 拡大切除および左鼠径リンパ節郭清施行。リンパ節転移を認めなかった。手術より4年後, 右鼠径部リンパ節腫脹, 右下肢リンパ浮腫が出現。右鼠径部リンパ節生検にてBCCの転移を認めた。また骨盤リンパ節への転移も認めた。cisplatin, adriamycinによる化学療法 (CA療法) を施行するも無効であった。
    症例2:82歳, 男性。約10年前に右頬部に黒色結節出現, 徐々に拡大し70×60mmの潰瘍を形成したため当科受診した。組織学的に基底細胞癌と診断。CT上で筋層までの腫瘍浸潤, および右頸部リンパ節腫脹を認めた。放射線療法を施行し, 潰瘍は上皮化したが, リンパ節腫脹は続いている。
  • 南 祥一郎, 伊藤 孝明, 中川 登, 松本 晴子, 小倉 千香, 林 義明
    2005 年 20 巻 2 号 p. 127-131
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    1985年から2002年までの18年間に, 当科において病理組織学的に基底細胞癌と診断した207症例, 247病変について検討した。男性123例, 女性84例で男性にやや多いが, 18年間で増加, 減少傾向は認めなかった。部位別では, 顔面が70.4%と最も多く, 鼻部, 眼瞼部, 頬部で75%を占めていた。WHO分類に準じて病理組織学的分類の再検討を行ったが, nodular typeが37.7%と最も多く, 顔面だけでみるとその比率は44.9%に達した。WHO分類に含まれていないmixed typeが28.3%存在し, これらの取り扱いを含め, 病理組織学的分類の確立が重要であると思われる。
  • 八坂 なみ, 吉田 貴子, 安藤 巌夫
    2005 年 20 巻 2 号 p. 132-134
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    55歳, 女性。現病歴: 5年前より右第4指背にびらんを生じる。徐々に小腫瘤状に増大したため1999年5月13日当科初診。血管拡張性肉芽腫の診断で液体窒素療法を4回受ける。縮小したため受診中止したが, その後, 徐々に増大したため, 2003年4月1日当科再受診となる。現症: 右第4指背に直径10mm大の弾性硬の半球状紅色調から黄色調腫瘤が存在。下床との可動性は良好。診断確定を含め全切除を施行。病理所見: 表皮直下から皮下組織にかけて境界明瞭な類円形の腫瘍塊が存在。腫瘍塊は豊富な線維性の間質に浸潤する不規則な小葉ないし管腔様構造よりなる。構成する細胞は基底細胞様細胞と一部脂腺分化を示す泡沫状細胞よりなる。以上よりsebaceomaと診断。
  • 鈴木 さやか, 藤田 直昭, 山田 元人, 菱田 雅之, 柏崎 喜宣
    2005 年 20 巻 2 号 p. 135-137
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    眼瞼に生じる悪性腫瘍では再建の困難さや, 眼球を温存しようとするため不十分な切除となる場合がある。今回我々は下眼瞼に生じたマイボーム腺癌で術前の予想より腫瘍の浸潤が広汎で, 腫瘍の切除が不十分となり再度眼窩内容除去術を含む拡大切除を行った症例を経験したので報告する。
  • 藤田 直昭, 河合 正博, 鈴木 さやか, 山田 元人, 前多 松喜
    2005 年 20 巻 2 号 p. 138-141
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    71歳, 男性。幼小時より存在する扁平腫瘤の一部が, 初診の4ヵ月前から隆起して直径10mmの結節を形成した。病理組織学的に扁平腫瘤の部分はhidroacanthoma simplexの組織像を呈し, 結節部分はeccrine porocarcinomaの所見を示し, 両者が隣接していた。以上より, 長期にわたり存在したhidroacanthoma simplexの一部が悪性化し浸潤破壊性となったと考え, Malignant hidroacanthoma simplexと診断した。扁平腫瘤の辺縁より20mm離して筋膜を含めて切除し, 鼠径リンパ節, 外腸骨リンパ節廓清術を施行した。鼠径リンパ節, 外腸骨リンパ節に転移を認めた。
    癌抑制遺伝子であるP53蛋白の免疫組織化学染色でeccrine porocarcinomaの部分は陽性を示したが, hidroacanthoma simplexの部分は陰性であった。
  • 杉田 和成, 小林 美和, 日野 亮介, 安田 浩, 戸倉 新樹
    2005 年 20 巻 2 号 p. 142-145
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    67歳, 女性。当科初診の10年前より, 左側頭部に隆起性の皮疹が出現。1年前より急激に増大してきたため, 近医皮膚科より当科を紹介された。左側頭部やや後方に淡紅色調の45×67×45mmの腫瘤があり, 下床との可動性は不良であった。腫瘍辺縁から1cm離し, 帽上腱膜上で切除し, 全層植皮にて再建した。腫瘍は真皮やや下層から皮下脂肪織に限局しており, 腫瘍胞巣内には管腔形成がみられ, 一部はシート状構造を呈していた。腫瘍細胞は密に増殖し, その核は円型から楕円形を呈し強い異型性が認められた。間質は, 大部分好酸性の無構造物からなっていた。免疫組織学的に腫瘍細胞は, CEA, S-100, GCDFP-15陽性, HHF-35, α-SMAは陰性であった。以上の所見より, malignant chondroid syringomaと診断した。
  • 木下 涼子, 岸辺 美幸, 石倉 直敬, 川上 重彦
    2005 年 20 巻 2 号 p. 146-149
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    75歳, 男性。4ヵ月前に左外眼角に圧痛を伴う結節が出現し, 徐々に増大したため近医を受診, 生検で有棘細胞癌と診断された。初診時左外眼角部に直径12mmの腫瘤を認め, 表面は凹凸不整, 辺縁は堤防状に隆起し中央には潰瘍を形成していた。腫瘍から内側1cm, 外側1.5cm離し上下眼瞼は全層, 外側は眼輪筋を含め, 眼窩隔膜, 骨膜上で切除した。病理組織学的所見では角化傾向を伴う腫瘍細胞が増殖する部分と異型を有する紡錘形細胞が増殖する部分が存在し筋層まで浸潤していた。以上より紡錘形細胞型有棘細胞癌と診断した。内側の下眼瞼の一部を皮下茎皮弁として下眼瞼縁を再建し, 頬部全体に及ぶ皮弁をデザインし皮弁外側を回転し上眼瞼の欠損と外眼角の再建を行った。下眼瞼の欠損した瞼板の再建に耳介軟骨移植を行った。術後1年で再発, 転移はない。
  • 柴田 真一, 安江 敬, 榊原 章浩, 吉野 能, 吉川 羊子, 富田 靖
    2005 年 20 巻 2 号 p. 150-153
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    センチネルリンパ節生検の概念が普及した現在では, 悪性黒色腫の鼠径リンパ節郭清は, センチネルリンパ節で転移を認める場合や臨床的に明らかにリンパ節が腫脹している場合が適応とされるようになってきた。しかし鼠径リンパ節転移を認めた場合の骨盤内リンパ節郭清の適否は施設間によってさまざまなのが現状である。我々は1999年4月~2003年10月までに悪性黒色腫の鼠径リンパ節郭清を23例行った。そのうち, 鼠径リンパ節が明らかに腫大している症例, 鼠径部のセンチネルリンパ節転移陽性で原発腫瘍の厚さが4mm以上, もしくは潰瘍を伴う症例の計8例に対して骨盤内リンパ節郭清も行った。その8例中2例に骨盤内リンパ節に転移を認め, さらに術後1年半以内に多臓器転移を認めた。これらの経験をもとに骨盤内リンパ節郭清の適応と意義について考察した。
  • 高橋 聡, 山崎 直也, 山本 明史, 岩田 浩明, 西澤 綾, 長谷川 匡
    2005 年 20 巻 2 号 p. 154-157
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    67歳女性の臀部に生じたSuperficial leiomyosarcomaの1例を報告した。腫瘍は11×10×2.5cm大の広基性紅色腫瘤であり, 表面にはびらん, 潰瘍, 白苔を伴い, 腫瘤周囲に色素沈着を認めた。病理組織学的に腫瘍は真皮浅層から皮下脂肪織, 一部で筋層近傍にかけて存在し, 棍棒状から葉巻上の腫大した異型の強い核と好酸性胞体を有する長紡錘形細胞が束状に錯綜しながら増殖しており, 核分裂像も散見された。免疫組織化学的所見, 電子顕微鏡所見を合わせSuperficial leiomyosarcomaと診断した。
    治療は腫瘍周囲の色素沈着部から3cm離し腫腫瘍下床は筋肉を含め切除し, 分層植皮を行った。現在まで再発, 転移は認めていない。自験例を報告するとともに本症について若干の文献的考察を行った。
  • 加茂 理英, 菅原 弘二, 前川 直輝, 石井 正光
    2005 年 20 巻 2 号 p. 158-161
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    隆起性皮膚線維肉腫 (以下DFSP) は, 若年~中年の体幹・四肢に好発する腫瘍である。腫瘍の境界は, 比較的明瞭に見えるが, 皮下組織さらに筋膜や筋組織への浸潤がしばしばみられる。
    治療は, 広範囲切除が一般的であるが, 不十分な切除ではしばしば局所再発することが知られている。特に頭部における再発は非常に高率である。近年, Mohs micrographic surgery (以下MMS) が推奨されてきている。
    自験例は23歳男性の頭部に生じた約4cmのDFSPで, 2cmの切除幅で骨膜を含めて切除し, 人工真皮を貼附した。術後, 腫瘍の残存がないことを確認し, 二期的に植皮術を行った。
    DFSPの治療は, MMSが最も有効な方法と考えたが, 設備や人的な面で制約があり, 自験例では, 二期的手術を行わざるを得なかった。今後はMMSを含めさらに手術方法の検討が必要と考える。
  • 苅谷 清徳, 新谷 洋一, 下川 稚代, 山本 敬三, 森田 明理
    2005 年 20 巻 2 号 p. 162-165
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    16歳, 女性。左臀部の紅色腫瘤を主訴に来院。切除生検の結果, 病理診断として悪性rhabdoid腫瘍を疑われ当科紹介。当初我々は悪性rhabdoid腫瘍あるいは悪性末梢神経鞘腫瘍の一亜型であるmalignant epithelioid schwannoma with rhabdoid featuresとの鑑別に難渋したが, 最終的にrhabdoid細胞の出現した無色素性悪性黒色腫と考えた。転移性黒色腫にrhabdoid細胞が出現することはあるが, 皮膚原発の悪性黒色腫にrhabdoid細胞が出現することは極めて稀である。今回我々は最終的にrhabdoid細胞が出現した皮膚原発性の無色素性悪性黒色腫と結論付けた。本邦では最初の症例と考えられ報告する。
  • 三浦 由宏, 三砂 範幸, 古場 慎一, 平島 徳幸, 中房 淳司, 成澤 寛, 桑原 伸夫, 末岡 榮三朗
    2005 年 20 巻 2 号 p. 166-170
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    78歳男性。1992年右陰嚢腫大が出現し, 9年後に腹部, 左側胸部に腫瘤が出現した。さらに翌年, 左眼瞼下垂が出現し, CT上頭蓋内に病変を認めたため入院となった。腹部と左側胸部に紫紅色, 弾性硬の腫瘤を, 眼所見では両側眼瞼下垂と左動眼神経麻痺を認めた。血液検査では総蛋白の増加, 蛋自分画でM-蛋自陽性だった。骨髄穿刺所見で異常はなかった。病理組織所見では真皮上層から皮下組織にかけてびまん性に細胞浸潤を認めた。腫瘍細胞は軽度異型性を示し, 車軸様の核を有するなど形質細胞の特徴を有していた。免疫組織学的に腫瘍細胞は形質細胞マーカーに陽性を示した。遺伝子再構成は免疫グロブリンJHで認めた。精巣腫瘤も同様の所見を示したことから精巣原発の髄外性形質細胞腫と診断した。治療は放射線療法と化学療法を併用し, 一時縮小したが, 9ヵ月後に腫瘤が再び増大, 背部や膝窩に多発してきたため, 外科的切除と化学療法を併用した。
  • 新井 栄一, 清水 道生, 廣瀬 隆則, 佐々木 亮, 佐々木 恵美子, 田嶋 公子, 土田 哲也
    2005 年 20 巻 2 号 p. 171-175
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    症例は33歳 (現在48歳) , 女性。30歳時に乳房下部に米粒大紅斑を生じ, その後3年間に胸部・背部・腹部および顔面に広がり, 療痒を伴う貨幣大の扁平紅色浸潤性局面を形成した。血液検査ではIgG (4676mg/dl) , IgA640mg/dlが著増し, IL-6も17.7pg/mlと上昇していた。初回生検にてCastleman病の形質細胞型と考えられ, 軽鎖のrestrictionは見出されなかった。プレドニン単独療法にて経過観察した。皮疹は消退傾向となっていたが, 42歳時に皮疹が高度に再燃, 全身の表在リンパ節腫脹も認めmulticentric Castleman's disease (MCD) と診断された。その後皮疹の自然消退傾向が現れたため同様の治療を継続し, 17年10ヵ月経過した現在, 皮疹はほぼ消失し, 表在リンパ節腫脹および肝脾腫は認められない。IgG (7114mg/dl)とIgA(735mg/dl)の高値は持続している。MCDの予後は (1) aggressive and rapidly fatal course, (2) chronic course with sustained clinical manifestations, (3) one with recurrent exacerbations and remissionに分かれるが, 本例は (2) に相当するものである。
  • 廣瀬 寮二, 陳 文雅, 武石 恵美子, 堀 眞, 鳥山 史, 阿部 陽子
    2005 年 20 巻 2 号 p. 176-182
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    口唇部に生じた有棘細胞癌 (SCC) は転移しやすく, 生命の危険性が高いとされる。ところが, その臨床症状と病理所見を正しく捉え, 早期に適切な治療が行われていない可能性がある。自験2例を通して, 皮膚科初診から手術までの経過を検討した。2例とも臨床的にSCCを疑われ, 複数回の皮膚生検を施行されたが, 長い間皮膚癌の診断はなされなかった。その結果, 1例は脈管侵襲と肺転移を生じ, 他の1例は筋層浸潤という予後不良なSCCとなった。したがって, 口唇部SCCの病初期は臨床症状および病理所見が良性と誤られることがあると知るべきである。すなわち治療が遅れがちとなることが口唇部SCCの予後の悪さを引き起こしていると思われる。臨床症状の腫瘤形成と, 病理所見の細胞異型が弱い点は要注意であり, Verrucous carcinomaと診断されることがしばしばある。このような症例はやがて時間の経過とともに悪性度を増し, 重症化するものと推測した。
  • 吉野 寿美, 岡 博史, 彌富 仁, 橋本 正弘, 本山 比佐夫, 田中 敏幸, 尾川 浩一, 田中 勝
    2005 年 20 巻 2 号 p. 183-189
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    ダーモスコピー画像内に観察されるDotsの規則的または不規則な分布状態とその色は, クラーク母斑と悪性黒色腫を判別する際に重要な手がかりとなる。本研究では, クラーク母斑・悪性黒色腫間でのDotsの状態の違いを, コンピュータを用いて観察した。材料として188枚のクラーク母斑, 75枚の悪性黒色腫のダーモスコピー画像を用いた。また, DotsはClosing Operationを使用し, 自動的に検出した。辺縁部のDotsにおいて, クラーク母斑と悪性黒色腫の特徴に差異が大きく発生することが分かった。辺縁部におけるDotsの輝度値の最大値と最小値の差は, クラーク母斑では51.6, 悪性黒色腫では80.1となり有意差があった。クラーク母斑と悪性黒色腫の判別に有効な特徴量の一つとして使用できると考えられた。
  • 本山 比佐夫, 岡 博史, 彌富 仁, 橋本 正弘, 吉野 寿美, 田中 敏幸, 尾川 浩一, 田中 勝
    2005 年 20 巻 2 号 p. 190-196
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    悪性黒色腫のダーモスコピー画像ではblue-white structures (BWS: blue-whitish veilとregression Structuresを含む) などにおける特有の色が知られているが, 色情報を用いた診断は主観的になされていた。今回, 悪性黒色腫75例, Clark母斑188例, Spitz母斑56例のダーモスコピー画像を用い, 色情報のコンピュータ解析を行った。まず, 色を4096階調に分け, その中からClark母斑に比較的少ない色で, 悪性黒色腫またはSpitz母斑に多くみられる色として, その面積比を用いてそれぞれ21色と9色を客観的に検出した。検出された色にはBWSの色や無色素性悪性黒色腫に特有の色が含まれた。悪性黒色腫とSpitz母斑には共通する色が7色存在した。色情報のみでClark母斑を検出することなく, 悪性黒色腫28症例 (37.3%) を検出した。
  • 橋本 正弘, 岡 博史, 彌富 仁, 本山 比佐夫, 吉野 寿美, 田中 敏幸, 尾川 浩一, 田中 勝
    2005 年 20 巻 2 号 p. 197-202
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    我々はこれまで, メラノーマとクラーク母斑のダーモスコピー像を自動判別するサーバの構築に成功し, 現在慶應義塾大学理工学部に存在するサーバにおいて無料でサービスを行っている (http://dermoscopy.soft.ics.keio.acjp/) 。これまで, 日本のみならず各国からのアクセスがあった。今回, そのシステムに対し, インターフェース構造の見直し, 掌蹠病変の解析アルゴリズムの追加, 計算処理部分へのC言語の採用, 判別分析のアルゴリズムの見直しを行った。その結果, 解析時間の短縮, 安定性の向上, 線型判別分析に代わりニューラルネットワークの利用, 掌蹠病変への対応に成功した。また, 2004年6月3日の稼働開始より世界各国から登録された23例について検討した。13例はダーモスコピー像でないなど不適切な画像であり, 残る10例中8例が臨床診断と一致していた。
  • 深川 修司, 中原 剛士, 師井 洋一, 占部 和敬, 古江 増隆
    2005 年 20 巻 2 号 p. 203-209
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    当科では2001年4月~2004年8月までに, 33例のメラノーマ患者にセンチネルリンパ節生検を施行した。色素法, リンパシンチそしてガンマプローブも併用しており, センチネルリンパ節の同定率は31例 (93.9%) で, 平均個数は1.94個だった。ガンマプローブを使用することで, より高い同定率が得られた。センチネル陽性例は7例 (21.2%) であり, 7例中6例に所属リンパ節郭清を施行した。郭清しなかった1例にin-transit metastasisを認めたが, 郭清した6例には現在まで転移を認めていない。またセンチネル陰性例のうち, 術後転移を認めたのは2例だった。診断はHE染色, 複数の抗体を用いた免疫染色そしてRT-PCR法によって検討しており, 診断の精度を高めるために複数の方法を用いることは有用であると考えた。
  • 前田 学, 山崎 隆治, 藤沢 智美, 永井 美貴, 周 圓
    2005 年 20 巻 2 号 p. 210-218
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    末期皮膚悪性腫瘍 (悪性黒色腫と有棘細胞癌) の2例に対してモーズ法と灸療法の併用を試みた。
    症例1; 77歳, 男性, 1996年夏より左足第I爪が黒色化し, 1997年5月, 外科で抜爪術施行。6月左鼠径部リンパ節腫脹出現, 悪性黒色腫のリンパ節転移の診断下, 8月18日に当科入院後DAV-feron療法3クール施行, 1998年1月22日に左第1趾切断, 6月より左鼠径部に転移巣数十個以上出現, 腫瘍巣36×30cmを拡大切除・植皮施行, 8月同部に再発, 切除。以後, 再燃・切除を4回施行。鼠径部転移巣に1999年10月よりモーズ法を施行・切除。2000年1月14日に再入院。骨盤内の腫瘍巣は小児頭大, 肺転移出現。1月24日, 鼠径部転移巣に灸3荘施行後, 黒色壊死・潰瘍化し, 同部の腫瘍細胞は消失。易出血のため計5回で中止, 3月9日, 黒色舌苔・カンジダ症併発し, 3月15日心不全で死亡。
    症例2; 63歳, 男性, 1999年11月右鼻孔部に丘疹を生じ, 2000年3月, 急速に増大, 耳鼻科の生検では良性と判断されたが, 以後増大し, 6月13日当科紹介。有棘細胞癌 (SCC) の診断後, 鼻中隔を含め広範切除。8月よりPM療法2クール施行。2001年4月25日下顎に腫脹出現, 5月25日同部の結節もSCCのため, 放射線60G照射, CF療法2クール施行, 一時的に腫瘍は縮小したが, 深部に癌浸潤し, 手術不可能と判断。3月25日モーズ法を試み, 隆起部は平坦化し, 4月10日に退院後もモーズ法継続。7月16日, 腫瘍巣周辺部の小結節に灸療法併用し, 自宅でも継続。8月6日には腫瘍巣は壊死・痂皮化し, 病理像で壊死化 (+) 。10月より急速に腫瘍巣は増大・易出血性となり, 12月3日再度入院。腫瘍巣は小児頭大壊死性潰瘍となり, 2002年2月23日, 多臓器不全で永眠。
    灸は文献的にも各種の不定愁訴の改善のみならず, 腫瘍増殖抑制効果も報告されているので, 末期で完治困難な癌症例に対してQOL向上面からモーズ法と灸療法の併用も積極的に考慮する必要がある。
  • 清水 秀直, 原 弘之, 小林 麻衣子, 五島 順子, 進藤 綾子, 下島 博之, 照井 正, 亀井 美樹
    2005 年 20 巻 2 号 p. 219-222
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    56歳, 男性。初診6ヵ月前, 左腋窩に径5mm程の皮疹が出現した。前医初診時現症は, 左腋窩に径1.5cm暗紫紅色, 中央はやや陥凹し黄色調の硬い結節を認めた。組織学的に真皮中層から皮下脂肪織にかけて大型で好酸性の細胞質を有する上皮様の細胞が束状もしくはシート状に配列した腫瘍塊を認め, 中央では壊死を伴っていた。免疫組織学的にはケラチン, ビメンチン染色ともに陽性であり, 類上皮肉腫と診断した。近年, 類上皮肉腫でのCA125の発現と血清値の上昇の報告がされており, 自験例においても, 腫瘍細胞の細胞膜に一致してCA125は陽性であった。血清値は基準値範囲内であったが, 今後も病勢を知る上で, 血清CA125値を経時的に測定することは有用と思われた。
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