抄録
CD4+/CD56+ hematodermic neoplasmはかつてBlastic NK cell lymphomaと呼ばれた腫瘍で, 高齢者に暗紅色の紅斑や結節などの皮膚病変として初発し,後に骨髄に浸潤することが多い予後不良な疾患である。表面マーカーはCD4+, CD56+, CD3-を特徴とし, その起源はNK細胞ではなくplasmacytoid dendritic cell (pDC) であるとされている。症例は72歳男性。右頬部に腫瘤を認め, 頸部, 頬部, 背部にも紅斑を認めた。いずれの病変からの生検組織も真皮に未分化な腫瘍細胞の浸潤を認め, 免疫染色ではCD4+, CD56+, CD3-であり, pDCのマーカーであるCD123も陽性であった。EBウイルスの関与も否定され, CD4+/CD56+hematodermic neoplasmと診断した。治療としてCHOP療法を行い, 一時病変は全て消失した。しかしその後再発し, 放射線療法を追加した。当初は局所療法を行うも, 非照射部から病変の新生が続くため, 全身照射に切り替えた。放射線療法終了後, 明らかな皮膚病変の再発は認めなかったが, 2ヵ月後, 死に至った。