抄録
Consensus Net Meeting on Dermoscopyにおいて提唱されている色素性基底細胞癌のダーモスコピー診断基準について, 発生部位を顔面に限定して診断精度の検証を行った。顔面の色素性基底細胞癌175例における診断基準に基づく診断感度は98%であり, 顔面の悪性黒色腫19例, 脂漏性角化症47例, 色素細胞母斑77例を対照病変とした場合の診断特異度はそれぞれ74%, 74%, 77%であった。6項目陽性所見別の検討では, ulcerationの悪性黒色腫と脂漏性角化症に対する特異度がそれぞれ74%と81%, multiple blue-grayglobulesの色素細胞母斑に対する特異度が88%と比較的特異性が低かった。基底細胞癌を含めた顔面色素性病変のダーモスコピー診断を実践するにあたっては, 各所見の診断特性を踏まえた上での鑑別診断が必要と思われた。