55歳男性。臀部慢性膿皮症に対し, 約10年前より数回瘻孔部分切除術を受けていた。2008年3月の瘻孔切除標本において有棘細胞癌を認め, 切除断端に腫瘍細胞が陽性であったため, 紹介受診となった。同年4月, 肛門周囲の有棘細胞癌を認めた部位と, 左臀部の慢性膿皮症部の切除を行い, 同部位に分層植皮術を行った。植皮部が肛門周囲であったため, 一時的な人工肛門増設術を行った。繰り返す慢性膿皮症の治療として, 切開, 部分切除のみではなく, 有棘細胞癌の併発を念頭に置き, 全摘除を考慮することが必要である。