抄録
生下時より存在していたと思われる背部の萎縮斑上に多発性に生じたpigmented dermatofibrosarcoma protuberansの女児例を報告した。組織学的には線維芽細胞様細胞がstoriform patternを呈し密に増殖し, 処々に担色素細胞が混在した。担色素細胞は, 免疫組織学的, 電顕的所見よりメラノサイトと同定されたが, 腫瘍の主たる構成細胞は種々の抗体に反応せず, 電顕的にもその起源を支持する程の所見は得られなかった。腫瘍の母地となった, 萎縮斑部の組織像はneurofibromaに類似はしていたが, S-100蛋白陰性で, 腫瘤部との移行像からも同一腫瘍と考えるのが妥当と思われた。