2011 年 10 巻 1 号 p. 67-70
症例1は46歳,男性。約4ヶ月前より,右大腿内側に径 3.5mm 大,角化を伴う赤褐色の小結節が存在した。病理組織学的に,真皮の拡張した血管内の血栓形成と内皮細胞の乳頭状増生を認めた。症例2は67歳,男性。約2ヶ月前より,右手掌の第4指 MP 関節基部に,下床との癒着のない灰青色の径 7mm 大の皮下硬結が存在した。病理組織学的に真皮血管内に,内皮細胞が乳頭状に増殖する像がみられた。以上より,両症例を Intravascular Papillary Endothelial Hyperplasia (IPEH) と診断した。IPEH 本邦報告119例の集計から症例1は稀な部位,症例2は好発部位に生じた IPEH と思われる。(皮膚の科学,10: 67-70, 2011)