抄録
Ramsay Hunt 症候群の2例を経験した。症例1は耳および口腔粘膜の帯状疱疹に対して抗ウイルス剤の投与中に内耳症状と顔面神経麻痺が出現し,ステロイド剤の投与を行った。コハク酸メチルプレドニゾロン 200mg/日より開始し漸減した。症例2は耳帯状疱疹を伴わない無疱疹性帯状疱疹 (zoster-sine herpete: ZSH) であり,受診時に顔面神経麻痺を伴っていたため,症例1と同様に抗ウイルス剤とステロイド剤の投与を行った。2例とも顔面神経麻痺は軽快した。本症は発症早期に抗ウイルス剤およびステロイド剤を投与することが顔面神経麻痺の予後改善に重要と考えた。(皮膚の科学,10: 228-233, 2011)