皮膚の科学
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10 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
症例
  • 羽田 孝司, 夏秋 優, 山西 清文
    2011 年 10 巻 3 号 p. 199-202
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/10/23
    ジャーナル 認証あり
    29歳,女性。右腎血管筋脂肪腫摘出術の術前処置として,経口腸管洗浄剤ニフレック®を内服した。内服30分後から全身に熱感と紅斑が生じ,その後,顔面の腫脹,呼吸困難が出現した。輸液とステロイド投与を行い,症状は改善した。原因検索のため行ったプリックテストで,ニフレック®およびニフレック®に含まれるマクロゴール4000で陽性反応を示した。またマクロゴール400,1500,6000でもプリックテストを行い,陽性反応を示した。以上より自験例をニフレック®に含まれるマクロゴール4000によるアナフィラキシーと診断した。(皮膚の科学,10: 199-202, 2011)
  • 菊澤 亜夕子, 田中 真実, 清水 秀樹, 福永 淳, 錦織 千佳子
    2011 年 10 巻 3 号 p. 203-208
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/10/23
    ジャーナル 認証あり
    45歳,女性。2009年5月より食後外出時に眼囲腫脹を繰り返し自覚した。2010年4月天ぷら摂取後外出し,顔面の腫脹が出現した。7月マフィン摂取後歩行しアナフィラキシー症状を来した。IgE-RAST では小麦,グルテン,ω5-グリアジンに陽性であった。アスピリン+小麦負荷によりアナフィラキシーが誘発された。病歴聴取により,約2年前から加水分解小麦含有石鹸を愛用していたことが判明した。加水分解小麦末のプリックテスト・パッチテストはともに陽性であり,即時型反応と遅延型反応が共存している可能性が示唆された。本症例は加水分解小麦含有石鹸の使用により経皮感作が成立し,小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの発症につながったと推測した。(皮膚の科学,10: 203-208, 2011)
  • 上田 美帆, 谷崎 英明, 松井 美萌, 椛島 健治, 松村 由美, 谷岡 未樹, 宮地 良樹
    2011 年 10 巻 3 号 p. 209-213
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/10/23
    ジャーナル 認証あり
    60歳代,女性。20年来尋常性乾癬に罹患しているが最近は市販の外用剤を塗布する程度であり通院加療をしていなかった。感冒を契機に10日前から全身の潮紅と浮腫,落屑が急激に悪化し,皮膚の疼痛を伴う紅皮症にいたった。疼痛のために運動が制限され,食事摂取が困難となったため当院に緊急入院した。入院時の PASI スコアは58.8であり CRP は 7.5mg/dl と上昇していた。重症細菌感染症と結核感染を否定した上でインフリキシマブ投与を行ったところ,1週間後には紅斑や落屑,皮膚の疼痛は著明に改善し,食事の摂取が可能となった。米国の乾癬性紅皮症の治療ガイドラインでは乾癬性紅皮症の第1選択薬はインフリキシマブとシクロスポリンであるが,自験例は高血圧症を有していたためにシクロスポリンを選択せずにインフリキシマブを投与した。自験例のような急速な悪化を伴う乾癬性紅皮症は治療の緊急性が高く,インフリキシマブは良い適応になると考えた。(皮膚の科学,10: 209-213, 2011)
  • 加藤 佐代子, 今井 慎, 伊藤 令子, 小西 啓介, 中嶋 蘭, 湯川 尚一郎, 石川 聖子, 三森 経世, 西尾 直子, 荻野 篤彦
    2011 年 10 巻 3 号 p. 214-219
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/10/23
    ジャーナル 認証あり
    41歳,女性。上眼瞼に腫脹と紅斑が初発し,次第に手掌や頬部,体幹に紅斑が出現した。皮膚症状および皮膚生検の結果は皮膚筋炎に矛盾しなかった。しかし筋症状を認めず,血液検査では筋原性酵素値が正常範囲内で抗 Jo-1 抗体が陰性であり,clinically amyopathic dermatomyositis (CADM) と考えた。その後,そう痒感が増強し,皮膚潰瘍が出現してさらに筋原性酵素値の上昇を認め,軽度の間質性肺炎を認めた。抗 CADM-140 抗体が陽性と判明し,ステロイド剤やシクロスポリン,シクロホスファミドの併用療法をおこなったところ皮疹は軽快し,上昇していた筋原性酵素値も改善した。また間質性肺炎の増悪は認めず改善した。(皮膚の科学,10: 214-219, 2011)
  • 竹内 聖二, 中野 創, 錦織 千佳子
    2011 年 10 巻 3 号 p. 220-223
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/10/23
    ジャーナル 認証あり
    当科において経験した骨髄性プロトポルフィリン症(以下 EPP) の6症例を報告した。男性4例,女性2例であり,全例が学童期に発症しており,そのうち家族内発症例は4例であった。病歴,家族歴,皮疹の性状より EPP を疑い,血中プロトポルフィリンの高値を認めたものを EPP と診断した。1例において遺伝子診断を行い,原因遺伝子産物であるフェロキラターゼ(以下 FECH) の186番目のイソロイシンをスレオニンに変えるTからCへのトランジションが同定された。さらに,FECH の酵素活性に影響するイントロン3の一塩基多型 (single nucleotide polymorphism: SNP) も認められた。当科の症例では,肝機能の増悪した例はなく,血中プロトポルフィリン値について季節変動は見られなかった。(皮膚の科学,10: 220-223, 2011)
  • 越田 冴野, 兪 明寿, 黒川 晃夫, 森脇 真一
    2011 年 10 巻 3 号 p. 224-227
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/10/23
    ジャーナル 認証あり
    症例1:43歳,女性。平成19年2月から胃癌ステージIVの診断で化学療法が施行されていた。平成20年9月から臍部に 2~5mm 大の丘疹と硬結に気が付き,平成21年1月に当科を受診した。皮膚生検にて胃癌の臍転移が確認された。症例2:77歳,女性。数週間前から自覚症状のない臍部の結節に気付き,平成21年4月に当科を受診した。初診時,臍部に小指頭大の浸出液とびらんを伴う結節を認めた。臨床像から Sister Mary Joseph 結節を疑い,全身検索を行ったところ,膵体部癌と多発肝転移が発見された。臨床像,組織像よりこれらの2症例を Sister Mary Joseph 結節と診断した。内臓悪性腫瘍の臍転移は Sister Mary Joseph 結節として知られている。文献的には,本邦での内臓悪性腫瘍の臍転移例の報告はこれまで191例であり,原発臓器は胃が最多で61例,次いで膵40例,卵巣30例の順であった。(皮膚の科学,10: 224-227, 2011)
  • ―治療に対する考察―
    奥山 歩美, 南 祥一郎
    2011 年 10 巻 3 号 p. 228-233
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/10/23
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    Ramsay Hunt 症候群の2例を経験した。症例1は耳および口腔粘膜の帯状疱疹に対して抗ウイルス剤の投与中に内耳症状と顔面神経麻痺が出現し,ステロイド剤の投与を行った。コハク酸メチルプレドニゾロン 200mg/日より開始し漸減した。症例2は耳帯状疱疹を伴わない無疱疹性帯状疱疹 (zoster-sine herpete: ZSH) であり,受診時に顔面神経麻痺を伴っていたため,症例1と同様に抗ウイルス剤とステロイド剤の投与を行った。2例とも顔面神経麻痺は軽快した。本症は発症早期に抗ウイルス剤およびステロイド剤を投与することが顔面神経麻痺の予後改善に重要と考えた。(皮膚の科学,10: 228-233, 2011)
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