2011 年 10 巻 5 号 p. 399-403
66歳,女性。2009年7月冷却パッド寝具を使用したところ,接触部位に一致して強いそう痒を伴う浮腫性の紅斑が広範囲に出現した。近医でステロイドの内服と点滴治療を受け,精査目的にて当科を受診した。冷却パッド寝具の貼付試験を施行したところ72時間判定で寝具の生地に陽性,冷却ジェルに強陽性を示した。冷却ジェル貼付部位は1週間後も紅斑を認め,冷却ジェル中の含有成分が原因物質である可能性が示唆された。冷却パッド寝具の接触皮膚炎に関しては日本皮膚科学会のホームページでも注意喚起されており,今後も同様の症例が増加する可能性があるため注意が必要である。(皮膚の科学,10: 399-403, 2011)