皮膚の科学
Online ISSN : 1883-9614
Print ISSN : 1347-1813
ISSN-L : 1347-1813
症例
PCR による増幅産物の塩基配列決定によって診断した Mycobacterium fortuitum 感染症の1例
高橋 聡文中西 元藤本 徳毅田中 俊宏重田 雅代
著者情報
ジャーナル 認証あり

2012 年 11 巻 1 号 p. 92-95

詳細
抄録
26歳,男性。顔面に 3×1cm の波動を伴うなだらかに隆起する嚢腫状の病変を認めた。発赤,腫脹はみられたが,局所熱感はなかった。皮膚生検ではリンパ球を伴う肉芽腫様の炎症反応を認め,膿の細菌培養からは Runyon 分類IV群の迅速発育抗酸菌のコロニーを認めた。DNA-DNA ハイブリダイゼーション法では反応する菌種を同定できなかったが,抗酸菌特異的配列を標的とするプライマーを用いたシークエンス法で確定された塩基配列は,BLAST 検索で Mycobacterium fortuitum の配列に一致した。レボフロキサシンとミノサイクリンの内服を2ヶ月継続し,皮下の嚢腫状の病変は消失し,局面のみとなった。その後2年半再発はない。DNA-DNA ハイブリダイゼーション法のみでは,抗酸菌の菌種によっては偽陰性を示すことがあるため注意を要する。(皮膚の科学,11: 92-95, 2012)
著者関連情報
© 2012 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
前の記事 次の記事
feedback
Top