皮膚の科学
Online ISSN : 1883-9614
Print ISSN : 1347-1813
ISSN-L : 1347-1813
症例
非イオン性ヨード造影剤イオヘキソールによる急性汎発性発疹性膿疱症の1例
喜多川 千恵山本 真有子佐野 栄紀
著者情報
ジャーナル 認証あり

2012 年 11 巻 2 号 p. 165-169

詳細
抄録

76歳,男性。膵嚢胞の経過観察のために非イオン性ヨード造影剤であるイオヘキソールを用いた造影 CT 検査を受けたところ,その10時間後より全身の紅斑とともに 38°C 台の発熱が出現し,2日後には背部や側腹部,腋窩の紅斑上に毛包に一致しない小膿疱が多発した。病理組織検査で好中球性の角層下膿疱を認め,イオヘキソールのスクラッチパッチテストおよび薬剤誘発性リンパ球刺激試験 (drug-induced lymphocyte stimulation test: DLST) の結果より,イオヘキソールによる急性汎発性発疹性膿疱症 (acute generalized exanthematous pustulosis: AGEP) と診断した。稀ではあるが非イオン性ヨード造影剤も AGEP を起こしうるということを認識する必要がある。また先行する上気道感染症や抗 SS-A 抗体が陽性であった点も AGEP の発症に何らかの関与をした可能性がある。(皮膚の科学,11: 165-169, 2012)

著者関連情報
© 2012 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
前の記事 次の記事
feedback
Top